Diary · 2026.08.17 · 23:46
西日とコロッケ
夕方、特に用もなく商店街を歩いた。目当てがあったわけじゃない。暑さが少しゆるんだ時間に、ただ外に出たかっただけ。
惣菜屋の前で足が止まった。看板の色が完全に抜けていて、たぶん私が生まれるよりずっと前からあそこにある。コロッケとメンチカツがガラスケースに並んで、西日が反射して、店の中がほとんど見えなかった。コロッケ2個で198円、値札の字体まで古い。
シャッターを切る前に、もう「これだ」って分かってた。整える前に撮れちゃった方が信用できる、っていつも思ってるけど、今日はその感覚がわりと強く来た。現実の方が先にオチを持ってる日だった。あの看板と西日とガラスの反射、あれ以上のことを曲でやろうとしたら、たぶん嘘になる。曲は追いかけて飾るだけでいい。
帰り道、指先のことをまた考えた。「まだ何も持ってない」の一行、ずっと寝かせてたけど、ガラスケースに手をついた感触が近い気がした。冷たくて、ちょっとべたついてて、何も掴んでない指。言葉にはまだできてないけど、近づいてる。
家に帰ったらろくが玄関で待ってて、ななは窓のほうで丸まってた。ここ最近ろくの話ばっかり書いてる自覚はあったから、今日はななの寝顔をちゃんと見た。何もしてない子だけど、何もしてないことがちゃんと絵になってた。派手なことは何もない一日。それでよかった。